■葦葺き屋根の種類

葦葺き屋根の種類

佐賀県の葦葺き屋根の民家は、ほとんどが平屋建てで平入り形式ですが、一部妻入りも見られます。

現在使用されている材料は、茅・葦で、山間部は茅を葺いています。材料の調達は県内でまかなつていまが、茅は県外から調達する場合があります。

屋根の形はバラエティに富んでいて、次の四種類に分けられます。

■寄せ棟造り ■かぎや造り

■くど造り  ■じょうご造り

□葦葺き屋根の工程

①既存建物

②建物周りに足場を架ける

③同上 右下の葦は新規材

④既存屋根の解体

⑤既存屋根の解体

葦下地の竹撤去

⑥既存屋根材の再利用

使用できる葦は一定の大きなに縛り

再利用する。撤去材は肥料に使う。

⑦サスの納まり(棟解体時)

・サスの棟納まり部分 ・丸太と丸太受け

桁の横に取り付けた丸太受けにのせる。

以前は竹に縄を巻いた物を使用していたが、

耐久性が良い丸太を使用する。

見栄えは、竹が良い。

・サスと竹の取り合い

サスの間隔は一間(2m)、角度は10寸勾配

(45°)以上。サスの梁間方向が2間半(5m)

超える場合は、サスが広がらない様に、補強する。

 

⑧-1.サスと横竹の固定部分 

⑧ー2.縦竹(男竹)を横竹に結ぶ

⑧ー3.結び目は写真参照(男結び)縦竹の間隔は300㎜程度上と下を互い違いに結んで行く

(注意)縄は、荒縄(藁縄)を使用

⑧ー4.割った竹を縦竹の上に横長にして、縦竹に縄でぐるぐる巻いていく・割り竹の間隔は、150mm程度

⑨ー1.軒の厚みを作っていく

・まずは四隅に麦わらを巻いて、厚みを決める。

⑨ー2.四隅に合わせて、平、妻の部分も麦わらで軒を作る。(茅葺きの場合は、茅でもOK)

・麦わらを並べて、女竹で押さえて、下地の横竹に縄を通して結ぶ。(男竹:節が出ている、女竹:節が出ていない。この2種類を使い分ける。

・押さえる女竹は、四隅の部分に突き刺す。

⑨ー3・4.2段目は、男竹で一段目の上300mm程度のところで押さえる。(4.は室内から小屋裏が見えるので、体裁がいいように葦を薄く敷く)

⑩ー1.葦材料。材料は、この様に束ねておく。

その方が並べやすい。

⑩ー2.軒の2層目を作っていく。

今度は葦を使って四隅を作る。(茅の場合は茅で)

⑩ー3.四隅に合わせて平、妻の部分も葦で(茅で)軒の2層目を作。同じように1段2段と竹で押さえる。

⑩ー4.縄を編むようにして固定する。縄の留に女串(めぐし)を使う。

⑪-1.軒は3層で作る。

⑪ー2.

⑪ー3.葦(茅)と竹の固定。

・全て「男結び」で行う。

・1の竹、2の竹、3の竹の間隔は300mm程度。

・結び目の位置は互い違いに。基本的に1の竹はシュロ縄を使う。(締りが良い。水に強い。)

・基本的に1の竹は女竹、2の竹は細めの男竹、3の竹は太めの男竹を使う。

⑪ー4.葺き上がる時も、まずは、四隅の厚みを決めてから。

⑫ー1.葺き上がりの手順

1.「ミチヒモ」に足場となる丸太「ミチギ」を吊る。

2.「ミチギ」の上に葦(茅 )を載せていく。

3.1の竹を仮結び。(カマの柄がとがっているのでそれを刺して下の竹の位置を探る。

4.葦(茅)の束ねているヒモを切り、ミゾができないようになじませる。

5.「ミチギ」を上げて、コテで傾斜をつける。

6.2の竹を男結び。1の竹も男結びしなおす。

7.2の竹を取った下の竹に「ミチヒモ」を通して

表に出しておく 8.3の竹を男結び。(3の竹は①の横竹に固定)9.「ミチギ」を降ろし、新しい「ミチギ」を吊る。⑫ー2.「ミチギ」を吊る。⑫ー3.3の竹を結ぶ。⑫ー4.葦を載せた所。

                         

⑬ー1.コテで傾斜をつける。葦の場合はたたいて形を調整、刈らない。葦の場合は、コテで調整した後、最後はバリカンで仕上げる。

*傾斜は真っ直ぐ ではなく「むくり」をつける。

雨で荷重がかかると、つぶれてしまうため。

厚みは600mm~1000mmにもなる。

⑬ー2.3の竹は取りにくいため内側から針のように刺してもらう。

⑬ー3.棟にかかる穂先は刈る。

⑬ー4.10段葺き上がった状態。


⑭ー1.⑬ー3で刈つた穂先で 棟を作る。

⑭ー2.~4.棟の固定の仕方。

(鋼管と竹を使い、縄とシュロ縄で固定)

⑮ー1.2. 最後は鋼管(雨がかりで1番傷むため)で固定し、鋼管と葦(茅)の間に杉皮をはさむ。

⑮ー3.棟瓦を載せる。(佐賀の場合草葺き用の瓦を載せる)瓦は割れ防止の塗料を塗っておく。

⑮ー4.折り返した穂先は刈る。 

⑯ー1.竹串を棟瓦の穴に刺す。

⑯ー2.やせている部分には「さし葦(茅)」と言って、300mmに切った葦(茅)を差し込んでいく

⑯ー3.「ミチギ」「ミチヒモ」を取りながら形を整えていく。

⑯ー4.「茅」の場合は、バリカンで刈る。 

⑰ー1.「ミチギ」「ミチヒモ」を取りながら形を整えていく。

⑰ー2.軒先を「コテ」を使い、形を整えれいく。

⑰ー3.ハサミでヒゲの様に、ひょろっと出ている部分をカット。 

⑰ー4.完成。(施主と一緒に完成写真)

⑱ー1.矩計図

■ー1~2.茅葺き完成。





■ー3~4.葦葺き完成。 

■葦葺き屋根の内部

■葦葺き屋根の断面

 厚さ600~800mm



■有明海河口の葦場

■山 茅場 (佐賀県には無くなりつつある)

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